事前学習:核医学 PET装置クエスト
このクエストは、PET装置の国家試験レベルで狙われやすい内容をまとめた練習用です。
ポイントは、同時計数、3D収集、偶発・散乱・減弱補正、空間分解能、PET/CT・PET/MRIです。
正答が長文で目立たないように、選択肢は短めにそろえています。
1. PET装置の基本
PETは positron emission tomography の略で、陽電子放出核種から出た陽電子が電子と対消滅するときに発生する2本の511 keV消滅放射線を同時計数して画像化します。
| 項目 | 整理 |
| 検出する放射線 | 511 keV消滅放射線2本 |
| 方向決定 | 同時計数によるLOR |
| コリメーション | 電子的コリメーション |
| SPECTとの違い | 鉛コリメータを使わないため感度が高い |
PETは「陽電子そのもの」ではなく、対消滅で出る511 keV光子を測ります。
2. PET核種
PETに使うには、基本的に陽電子放出核種である必要があります。短半減期であれば何でもよいわけではありません。
| 代表核種 | ポイント |
| 18F | 18F-FDGとして広く使用。比較的半減期が長く配送も可能。 |
| 11C | 短半減期。施設内製造が重要。 |
| 13N | 陽電子放出核種。 |
| 15O | 陽電子放出核種。 |
| 68Ga | 陽電子放出核種。68Ge-68Gaは外部線源としても出題されます。 |
PET核種の代表:18F、11C、13N、15O、68Ga。
3. 検出器とシンチレータ
PETでは、BGO、LSO、LYSOなどのシンチレータと、PMTまたはSiPMなどの光検出器を組み合わせて用います。
| 項目 | 重要点 |
| ブロック検出器 | 多数の小結晶を複数の光検出器で読み出す。 |
| 結晶サイズ | 小さいほど位置決定が細かく、空間分解能が向上しやすい。 |
| BGO | 高密度・高実効原子番号で阻止能が大きい。発光量や時間特性は不利。 |
| LSO/LYSO | 発光量が多く、減衰時間が短い。TOF-PETに有利。 |
| SiPM | 小型・高速応答・磁場に強い。PET/MRIやTOF-PETで重要。温度管理に注意。 |
| DOI | 深さ方向の相互作用位置を測り、周辺部の分解能低下を抑える。 |
BGO=阻止能。LSO/LYSO=時間特性。SiPM=磁場に強くTOFに有利。
4. 2D収集と3D収集
| 収集法 | 特徴 |
| 2D収集 | スライスセプタで斜め方向LORを制限する。感度は低いが散乱・偶発を抑えやすい。 |
| 3D収集 | セプタを用いず斜め方向LORも収集する。感度は高いが散乱・偶発が増えやすい。 |
| 最大受容角 | 斜め方向LORをどこまで受け入れるかを決め、軸方向感度分布に影響する。 |
3D収集=高感度。ただし散乱補正・偶発補正が重要。
5. 同時計数の種類
PETのPromptには、真の同時計数、散乱同時計数、偶発同時計数が含まれます。
| 種類 | 意味 |
| 真の同時計数 | 同一対消滅由来の2本の511 keV光子を正しく検出。 |
| 散乱同時計数 | 同一対消滅由来だが、片方または両方が散乱してから検出。 |
| 偶発同時計数 | 別々の対消滅由来の光子が、偶然同時計数時間幅内に入る。 |
Prompt = True + Scatter + Random。Delay = Random。
6. 補正法の整理
| 補正 | 代表的な方法・データ |
| 偶発同時計数補正 | 遅延同時計数法、シングル計数率法 |
| 散乱補正 | SSS法など。DEW法は主にSPECTで扱う。 |
| 減弱補正 | CTデータ、または68Ge-68Ga外部線源による透過データ |
| 検出器感度補正 | ノーマライズスキャン |
| 計数損失補正 | 高計数率での数え落としを補正 |
CTデータ→減弱補正。遅延回路→偶発補正。ノーマライズ→感度補正。
7. 偶発同時計数の式
偶発同時計数率は、代表的に次の式で表されます。
R = 2τS₁S₂
R:偶発同時計数率
τ:同時計数時間幅
S₁, S₂:2つの検出器のシングル計数率
S₁≒S₂≒Sなら、RはS²に比例します。
偶発同時計数は投与量に単純比例ではなく、おおむねシングル計数率の2乗に比例します。
8. 空間分解能に影響する因子
| 因子 | 影響 |
| 陽電子の飛程 | 長いほど核種位置と対消滅位置がずれ、分解能低下。 |
| 角度揺動 | 2本の光子が完全な180°でないためLOR位置がずれる。 |
| 検出器結晶サイズ | 大きいほど位置決定が粗くなる。 |
| 画像再構成条件 | フィルタや平滑化でぼけ方が変わる。 |
| 収集時間 | 主に統計ノイズに影響。空間分解能の主要因子ではない。 |
空間分解能=位置のズレやぼけ。収集時間=カウント数とノイズ。
9. PET/CT・PET/MRI
| 装置 | ポイント |
| PET/CT | PET機能画像とCT形態画像を融合。CTは減弱補正にも使用。 |
| PET/MRI | PETとMRIの同時収集が可能な装置がある。SiPMが重要。 |
| TOF-PET | 2光子の検出時間差を利用し、LOR上の位置推定を助ける。 |